今回は、福島県で初めてのJSPA公認スクールとして北塩原村の桧原湖でカナディアンカヌーツアーを展開する「カヌー舎湖日和(みずびより)」代表の中村寛さん(通称:カンさん)にインタビューを行いました。地域おこし協力隊として活動しながら公認スクールへの道を歩んでこられた寛さんに、事業の特徴やJSPAに加盟した理由、これまでの歩みなどを伺いました。
Q1. 現在の事業内容について
―まずは、スクールの概要について教えてください。
寛さん:福島県の裏磐梯・桧原湖をフィールドに、「カヌー舎湖日和(みずびより)」という屋号でカナディアンカヌーツアーを展開しています。現在は地域おこし協力隊として活動しながら、事業を進めているところです。
―早朝の時間帯に力を入れていらっしゃるとか。
特に力を入れているのが、桧原湖の魅力が最大限に引き立つ早朝の時間帯です。風が穏やかで湖面が鏡のように静まり返る朝五時頃から漕ぎ出すツアーを主軸にしており、まだ誰もいない湖の上で、水鳥の声や朝もやの景色をゆっくりと味わっていただく、そんな非日常のひとときをお届けすることを大切にしています。
Q2. インストラクターを目指した経緯
―そもそも、インストラクターを目指したきっかけは何でしたか?
寛さん:もともとは「北塩原村でカヌーができるキャンプ場をつくりたい」という思いから、地域おこし協力隊制度を利用して移住したのが始まりでした。しかし、制度上の課題や既存事業との調整などから新たなキャンプ場の建設は難しいと分かり、まずはカヌーで生業をつくろうと考えたのが、インストラクターを目指したきっかけです。
―独学からのスタートだったんですね。
当初は独学でカナディアンカヌーの操船技術を身につけていましたが、次第に限界を感じるようになりました。そこで、以前からYouTubeを拝見して憧れを抱いていた、支笏ガイドハウスかのあの松澤さんを訪ね、基本技術を一から学ばせていただきました。かのあさんがJSPAの公認スクールだったことから、私もJSPAのインストラクター資格、そして公認スクール認定を目指すことを決めました。公認スクールの認定を受けるために、まずはインストラクターになることから歩みを始めた、という流れです。
Q3. JSPA公認スクールになった理由
―数あるインストラクター認定団体の中で、なぜJSPAを選んだのでしょうか?
寛さん:一番大きかったのは、私の師である松澤さんの「支笏ガイドハウスかのあ」がJSPAの公認スクールだったことです。技術を学ばせていただく中で、安全に対する考え方やガイドとしての姿勢に深く共感し、「自分もこの団体で認定を受けたい」と自然に思うようになりました。
―師匠の姿勢に共感したことが決め手だったんですね。
他にも認定団体がある中でJSPAを選んだのは、安全管理の基準が明確でしっかりしていること、そして研修やブロックミーティングなどを通じて、現役で活躍されている先輩ガイドの方々とつながり、学び続けられる環境があると感じたからです。一人で活動していくうえで、信頼できる土台と仲間がいることは、大きな安心につながると考えました。
Q4. 他の公認スクールとのつながり
―JSPA公認スクール同士の交流はありますか?
寛さん:交流の機会は非常に充実していると感じています。私の場合、インストラクター検定を受けるにあたって松澤さんに相談したところ、SRP講習をパドル屋の高田さんのところで受講するよう勧めていただきました。さらにその高田さんからは、検定の事前講習会を一滴Paddle&Mountain Guideのアキさん(中村昭彦さん)のところで受けるよう紹介していただきました。
―人から人へ、次々とつながっていったんですね。
このように、私が公認スクールとして認定を受けられたのは、松澤さんをはじめ、高田さん、アキさんなど、多くの方々が次々と導いてくださったおかげだと思っています。スクール同士が横でつながり、新しく挑戦する者を温かく後押ししてくれる。そんな関係性に、何度も助けられました。
また、インストラクターになった後も、各種研修や東北ブロックミーティングに参加させていただいています。諸先輩方の体験談や最新の情報を直接うかがえるのは本当に勉強になりますし、パドル業以外の事業を持って活動されている方も多く、自分の知らなかった業界の話を聞けることで、ガイドとしての視野や引き出しが大きく広がったと感じています。
Q5. JSPAからの情報提供について
―JSPAから安全ガイドラインや研修、セミナーなどの情報が提供されていますが、お役に立っていますか?
寛さん:十分に提供していただいていると感じています。安全ガイドラインが整っているのはもちろん、研修や東北ブロックミーティングといった場で、実践的で最新の知識に触れられるのがありがたいです。特に、実際に現場で活動されている先輩方の生の体験談を聞ける機会は貴重で、書面の情報だけでは得られない学びがあります。新規で活動の幅を広げていく身として、心強いリソースになっています。
Q6. JSPAのサポート体制について
―公認スクール認定に向けて、具体的なエピソードがあれば教えてください。
寛さん:とても手厚くサポートしていただきました。公認スクールの認定に向けては、運行規定をはじめとする各種書類の作成を、松澤さんとアキさんが丁寧に支えてくださいました。さらに、安全基準の確認やツアープログラムの造成にあたっては、わざわざ現地まで足を運んでいただき、一緒に現場を見ながら具体的にアドバイスをくださいました。
―遠方から、実際に桧原湖まで来てくださったんですね。
遠方にもかかわらず実際に桧原湖まで来てくださり、私のフィールドに合わせて確認していただけたことは本当に心強く、感謝の気持ちでいっぱいです。
Q7. 安全に対する意識の変化
―公認スクールになったことで、ご自身の意識に変化はありましたか?
寛さん:個人の趣味としてカヌーを楽しんでいた頃とは、安全に対する意識が大きく変わりました。
特に意識するようになったのが、ツアー前にできる事前の対策です。自分自身の体調管理、天気予報の確認、現場の下見、そしてツアー運行にあたっての関係各所との連携など、漕ぎ出す前の準備の重要性を強く実感するようになりました。
―漕ぎ出す前の準備を、本当に大切にされているんですね。
加えて、装備品の点検や、ツアー実施後の記録を残すことなど、一つひとつの積み重ねが安全につながると考えて取り組んでいます。お客様の安全をお預かりする立場として、当たり前のことを当たり前に徹底する意識が身についたと感じています。
Q8. JSPA公認スクールのメリット
―公認スクールになったことで、メリットを感じられましたか?
寛さん:集客の面で、公認スクールであることの信頼性を実感する場面が数多くあります。たとえば、OTA(アソビュー)への登録申請では、安全審査がスムーズに通ったと感じました。また、ホテルやペンションへ営業のプレゼンに伺う際も、「JSPAの公認スクール」という肩書きがあることで信用度が高く、話を聞いていただきやすくなります。
―他にも感じているメリットはありますか?
さらに、傷害保険や賠償責任保険に加入できる点も大きなメリットです。研修では、実際に起きた事故の事例をもとに、事故を未然に防ぐための備えだけでなく、万一の際のご遺族への対応方法といった事後の対応まで学ぶことができます。こうした「もしも」に備えられる体制があることは、ガイドとして活動するうえで何より安心できる支えになっています。
Q9. これからJSPA公認スクールを目指す方へのメッセージ
―最後に、これからJSPA公認スクールを目指す方や、公認インストラクターを目指す方へメッセージをお願いします。
寛さん:私自身、最初は独学から始め、右も左も分からない状態でした。それでも、勇気を出して先輩ガイドの方々を訪ねたことで、技術だけでなく、安全に対する考え方や仲間とのつながりという、かけがえのないものを得ることができました。
JSPAには、新しく挑戦する人を温かく迎え、次の一歩へと導いてくださる先輩方がたくさんいらっしゃいます。一人で抱え込まず、ぜひ思い切って飛び込んでみてください。学び続けられる環境と、心強い仲間が、きっと背中を押してくれるはずです。同じフィールドで、いつかご一緒できる日を楽しみにしています。
―寛さん、インタビューにお答えいただきありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
JSPA公認スクール制度
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