近年のアウトドアブームで、SUP、カヌー、カヤックなどのパドルスポーツが注目を集めています。美しい景色を眺めながら水上を滑る爽快感は格別ですが、水辺でのアクティビティには危険も伴いますし、実際に経験・スキル不足のガイド(インストラクター)による事故が多く発生しています。そこで今回は、旅行先でSUPやカヌー、カヤックを安全に楽しむ方法についてご紹介したいと思います。
そもそもガイド(インストラクター)付きが良い?
レンタルが良い?その判断方法とは?
旅行先でアクティビティを楽しむ方法には、ガイド(インストラクター)付きのツアーとガイド無しでレンタルで楽しむという2つの方法があります。まずそれぞれの特徴をまとめてみました。
インストラクター・ガイドを利用したカヌー・カヤック・SUPツアーのメリット
1. 安全性: ガイド(インストラクター)が同行することで、初心者でも安全に安心して楽しむことができる。
2. 教育的価値: ガイド(インストラクター)からその地域の自然や文化について学ぶことができる。
3. 効率的なルート: ガイド(インストラクター)は地域を熟知しているため、最適なルートを提供し、見逃してしまうような景色やスポットも案内してくれる。
インストラクター・ガイドを利用したカヌー・カヤック・SUPツアーのデメリット
1. コスト: ガイド(インストラクター)付きツアーは、レンタルよりも割高である。
2. 固定スケジュール: ツアーのプランに沿って行動するため、自由度が限られる。
レンタルのメリット
1. 自由度: レンタルの場合、自分のペースで探索できるため、行きたい場所を自由に選べます。
2. コスト効率: ガイド(インストラクター)付きツアーに比べてコストが低いことが多く、経済的です。
上記のように、「レンタル」と「ガイド(インストラクター)付きツアー」ではメリットとデメリットがそれぞれ異なります。観光旅行で初めて訪れる土地の場合は、特に安全確保の観点からガイド(インストラクター)付きツアーを選ぶことをおすすめします。
レンタルのデメリット
1. 安全性の懸念: 経験が少ない場合、特に困難な環境下ではリスクが高まる。
2. ルート選定: 効果的なルートを選ぶ知識が必要であり、未知の場所では迷いやすい。
3. 機材の問題: 自分で機材の状態をチェックし、必要な機材を揃える必要がある。カヤックやSUPなどの機材を旅行先に持っていくのは苦労が伴う。
ガイド(インストラクター)付きツアーに参加する
初めて行く場所や、不安がある場合は、ガイド(インストラクター)付きツアーに参加することをおすすめします。ガイド(インストラクター)付きツアーでは、経験豊富なガイドが安全に案内してくれるので、安心して楽しむことができます。旅行先でガイド(インストラクター)付きのツアーを選ぶ際のポイントを3つご紹介します。
天候やフィールドをよく知っているか、技術や経験があるガイド(インストラクター)かどうか
一般的に、外洋に面している海、流れが速い川で行うツアーの難易度は高くなります。こういったツアーに参加する場合は、特にツアーを行うガイド(インストラクター)の経験が十分にあるかどうか、会社公式ホームページやブログ、インスタグラムなどを読み、過去に同等かそれ以上の気象条件でも安定してツアーを行った実績があるかどうか確認しましょう。
オフシーズンにトレーニングをしていることをブログで報告していたり、インスタグラムで報告していること、ガイド団体に所属して定期的に訓練を受けていることなどがひとつの参考ポイントになります。
ツアー会社によっては、リゾートバイトスタッフを数ヶ月で即席育成しツアーを行う会社も多くあります。経験値が少なく、顧客の命を預かっているという意識が希薄で、安全確保のスキルが低いため、ひとたび想定外の事態が起きると対応できないことが多々起こります。そういった会社はリスクが高いといえるでしょう。
安全より利益を重要視していないかどうか
会社を見極める重要なポイントは、利益よりも安全を重視しているかどうか、という点です。
強風や雷雨などの悪天候が予想される場合は、代替プランがあるのかどうか、催行中止基準が明確にあるのかどうか、確認しましょう。
特に催行中止基準が主観的で不明確なツアー会社は危険です。利益のために、ツアー催行が危険であっても、ツアーを行う可能性があります。明確に数字で催行中止基準があり、電話などで聞いた際、即座に即答できるようなツアー会社は意識が高いといえます(例えば、風向風速が◯m以上で中止、水量が毎秒◯トン以上でツアー中止など)。
特に、お客様に迷惑がかかってしまう状況であっても、「安全のためにツアーを中止します」と正直に伝えてくれる会社は、良心的な会社といえるでしょう。JSPA(日本セーフティパドリング協会)の公認スクールは明確な催行基準を持ち、ツアー催行の判断を行っています。
賠償責任保険に加入しているかどうか
事故が多発し、保険会社に保険請求を度々行うようなツアー会社は、保険会社から契約を断られたり、保険金額が値上げされるといったことが起きます。賠償責任保険の加入は最低限必須の項目です。保険に入っているか確認することも、会社の安全への意識を見極めるポイントとなるでしょう。JSPA(日本セーフティパドリング協会)の公認スクールは全社施設賠償責任保険に加入しています。
せっかくの旅行で事故に合わないための心構えとは
旅行先で事故にあってしまっては、せっかくの旅行が台無しになってしまいます。そうならないように、SUPやカヌー、カヤックツアーに参加するときは、ご自身の準備や心構えも大切になります。事前の準備で大事な点をいくつかご紹介します。
体力を過信しない: 参加者自身の体力不足も重要な事故原因の一つとなります。特に天候の悪化、風、持病、子供がいる場合など、経験したことがないアクティビティの場合は予想以上に体力を消耗することがあります。ご自身の体力や筋力などを過信せず、ツアーを選ぶことが重要です。
持ち物はしっかり準備: 帽子、日焼け止め、飲み物など、必要なものを忘れずに持って行きましょう。特に酔い止めや持病の薬などは忘れずに、濡れる可能性も考慮してジップ付きの袋などに入れていくのがよいと思います。
濡れてもよい服装: 速乾性の高い服装を着用し、濡れても大丈夫な服装を用意しましょう。低体温症による事故は非常によく起こる事故です。コットン100%など乾きにくい服を着ていくのは避けてください。ガイド(インストラクター)は、そういった事態に陥らないように二重三重の対応策を考えていますが、万が一濡れても体温が奪われない服装を準備しておくことは重要です。
こういった事前の準備をしっかりしたうえで、ツアーに参加するとよりツアーを楽しむことができます。
安全なツアー会社を選ぶには
安全にパドルスポーツを楽しむためには、JSPA(日本セーフティパドリング協会)公認スクールを選ぶことがわかりやすいポイントです。JSPA公認スクールやJSPA資格所持のスクールは、以下の基準を満たしています。
安全管理体制が整っている: 経験豊富なガイドやインストラクターが在籍し、催行基準が明確で安全管理体制が整っている
安全装備が充実している: ボードや艇の安全性はもちろん、ライフジャケット、ヘルメットなどの安全装備が充実している
旅行先でパドルスポーツを安全に楽しむためには、事前にしっかりと準備をし、JSPA公認スクールを選んでツアーに参加したりすることをおすすめします。
JSPA公認スクール一覧: https://japan-safe-paddling.org/school/
旅行先でパドルスポーツを安全に楽しんで、思い出に残る旅にしましょう!
一般社団法人 日本セーフティパドリング協会(略称 JSPA :ジェイ・エス・ピー・エー)は、日本におけるパドルスポーツの安全な普及を目的に1988年に設立された歴史ある組織です。(2022年3月、SUP、フィッシングカヤック、パックラフトなどの新たなジャンルのパドルスポーツの普及を踏まえ、旧称である 日本セーフティカヌーイング協会(JSCA)から名称変更をしました。)
パドリング技術と安全管理を熟知した会員が500人以上在籍し、北海道から沖縄県まで50を超える公認スクールがスクールやツアーを開催しています。当会では、パドルスポーツを楽しく安全に指導できるインストラクターを目指す方へ向けたインストラクター/ガイド検定制度と協会が定めた安全基準をクリアした事業者を認定する公認スクール制度を設けています。JSPAの公認スクールは、安全技術に関する意識が高く、ガイド・インストラクターを目指す方にとっても安心してスキルアップを目指すことができるでしょう。
世界でパドルスポーツが盛り上がるためには、素晴らしいガイド・インストラクターの存在が欠かせません。JSPAでは、ともに研鑽する仲間をいつでも歓迎します。インストラクター・ガイドに興味をもっている方は、JSPAのWEBを参考に、まずは私たちにコンタクトをとってみてください。